菅義偉首相は施政方針演説で
脱炭素に取り組む企業に投資が集まる
金融市場改革をすると表明した。
「民間企業に眠る240兆円の現預金、
3,000兆円ともいわれる海外の
環境投資を呼び込む。
そのための金融市場の枠組みも作る」
と述べた。
政府内では脱炭素にかかわる
「技術」「製品」を企業に開示させたい
趣旨がある。情報開示をルール化することで、
環境対策に積極的な企業ほど、
投資を受けやすくするという事だ。
脱炭素にかかわる投融資の条件の明確化も目指す。
環境負荷を下げる事業への転換を促す
投融資の要件を示せば、企業はこうした
事業に取り組むようになる。
融資の可能性が明確になれば、
投資家も企業に資金を出しやすくなる。
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また、演説の原案によると
成長につながるカーボンプライシング
にも取り組んでいく。
※カーボンプライシングとは、
排出される二酸化炭素に価格をつけ、
排出量に応じたコストを負担してもらうもので、
具体的な制度としては「炭素税」や
「排出量取引制度」などが挙げられます。
経済産業省や環境省も温暖化ガスの排出量に
応じて課税する炭素税や二酸化炭素(CO₂)の
排出量の過不足を売買する
排出枠取引を検討している。
菅首相は温暖化ガスの排出量を、
2050年までに実質ゼロにする目標を掲げている。
原案によると、グリーン成長戦略で
2050年に年額190兆円の経済効果を唱える。
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【施政方針演説原案の要旨】
(1月13日に判明した菅義偉首相による
施政方針演説の原案)
「長年の課題」
役所の縦割りを打破し、前例主義、既得権益を
打ち破り未来を切り拓く次の成長の
原動力を作り出すのは「グリーン」と「デジタル」だ。
環境投資で大胆な一歩を踏み出す。
2兆円の基金を創設し、過去最高水準の
最大10%の税額控除を行う。
洋上風力発電や水素など
再生可能エネルギーを思い切って拡充する。
2030年半ばまでに
新車販売電動車100%を実施する。
成長につながるカーボンプライシングにも取り組む。
民間企業に眠る240兆円の現預金、
3,000兆円の海外の環境投資を呼び込む。
そのための金融市場の枠組みも作る。
世界に先駆けて、脱炭素社会を実現する。
この秋、デジタル庁が始動する。
強力な権能と予算を持った司令塔として、
国全体のデジタル化を主導する。
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科学技術立国・日本にとって
研究力の低迷は深刻な事態だ。
今後5年間の目標として、
政府の研究開発予算を30兆円、
官民の研究開発費の総額を120兆円とし、
積極的のイノベーションを促す。
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【2021年 Vol.023】担当:荒川正歩