ゼロカーボン

ペログスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ

太陽電池を開発し、その効率はシリコン製

太陽電池に肩を並べるレベルに届いている。

2050年には太陽電池で日本の電力需要の

40%賄うと期待しており、

ペログスカイト電池がその半分を

占めることも可能だ。

大量生産できれば、価格はシリコン製の

半値となるだろう。

ペログスカイト構造を持つ特殊な原料を

プラスティック製フィルムに塗布し、

乾かして電極を挟めば

軽くて曲げやすい電池になる。

重いパネルを屋根に付ける太陽光とは違い、

建物の側面に貼り付けて発電できる。

直射日光でなくても高い効率で発電するので、

マンションのベランダで

家庭菜園のように電気を作れる。

ロール状の電池を各家庭が一つ持つだけで

かなりの量の発電が可能になる。

日本で一気に広がるとすれば、EV車載用だろう。

フル充電は難しいが、出力を住宅に繋げれば

家電を動かせるのに使える。

「あらゆる場所を太陽電池で埋め尽くせる」

街中を再生可能エネルギーの発電所に変える。

ここ10年余りで発電効率を急速に高め、

今の太陽光電池(結晶系)の20%台に迫る。

米スタンフォード大学のチームは製造法の

革新で1Kwhあたり2円前後と最も安いコストで

製造できる再生可能エネルギーの一つとなる。

ペログスカイト型太陽電池を

2009年に開発したのは桐蔭横浜大学の

宮坂力特任教授だ。

ノーベル賞の候補にも挙がる。

「中国にはこの電池の研究者が

1万人はいる。日本の10倍超だ」

日本が太陽光電池の性能で先行しながら、

市場の獲得で海外勢に敗れた苦い過去が頭をよぎる。

発電の適地が限られる都市部などでは、

ペログスカイト型は不可欠。

日本の技術で再び負けるわけにはいかない。

【2021年 Vol.018】担当:荒川正歩